バンバンボード・チュートリアル基本編
バンバンボードの基本的な使い方と、併せて買い物の方法を説明しよう。
リクエストランドには、「自分に合うものを聞いて買う」リクエストと、「自分で調べて買う」ためのバンバンボードがある。
バンバンボードは商品を比較して選ぶためのツールだ。それ自体はネットショップではない。普段は買わないものが必要になると、どういう商品が良いのかわからない。霧の中を歩くような感じだ。そういうとき、ウェブブラウザーで調査をして、商品のページをバンバンボードに入れて、「自分の目的に一番合うものはどれかな?」と比べて選ぶのが主な使い道だ。
私は周囲に買い物上手と言われていて、安くて良い物を見つけるのが得意だ。「自分の目的に一番合うもの」を買うには、調査と意思決定が必要で、バンバンボードはそのためのツールとして設計した。そうすると、本質は調査と意思決定のための「考えるツール」なので、生活や仕事で課題があって、解決する方法から考えなければいけないときにも力を発揮する。
買い物の方法も併せて伝えたい。例えば、よい買い物をするには「相見積もり」が必要だが、言葉は知っていても経験がなかったり、難しさを感じている人は多いだろう。学生生活を終えて社会に出たばかりの人や、結婚をして多くの物(例えばオーブントースター、車、家)を買うことになる人には特に役に立つと思う。
買うものを選んでみよう
では、何かを買うこと想定してバンバンボードを作ってみよう。皆さんが今、欲しいものはなんだろうか?ここでは「週末の朝、冷たい食パンを食べるのが味気ない」ので、オーブントースターを買うことにして話を進めよう。

ボードを作り、条件を考える
まず、メニューのバンバンボード・ボタンを押す。
次に、バンバンボードのリストにある+ボタンを押して、新しいボードを作る。タイトルに欲しいものの名前を入れて右上の完了を押すと、空のボードができる。バンバンボードにはいくつかの行があって、行の中にカードを並べてゆくのだ。行は増やすことも減らすこともできる。
ここで、「自分に合う」とは、自分の条件や予算に合うことだ。例えば、オーブン・トースターを買うなら、「かわいいデザイン」「食器棚に置ける幅Xセンチ以下」「パンを焦がさないマイコン制御」「パン屑の掃除が簡単」「何ドル以下」といったことだ。必須ではないが、買うものの調査を始める前に、こういう条件をカードにして、1行目に優先する順に並べておくとよい。
新しいカードを作るには、画面右下の+ボタンを押して、選択肢から「カード」を選ぶ。カードのタイトルを入力して、画面右上の完了を押す。パソコンでは、+キーを押して新しいカードを開いて、CTRL-Enterで保存してもよい。高速にカードを作ることができる。


今注目している行を、フォーカス行という。行の頭の小さな丸いマークがあるのがフォーカス行だ。+ボタンを押してカードを作ると、フォーカス行に追加される。ある行にフォーカスを移すには、その行の背景をタップすればいい。

商品のカードを並べる
ブラウザーで調べて、「いいかな」と思う商品のカードを入れていこう。新しいカードに項目を入力してもよいが、自動的に入れる方法もある。
スマートフォンでは、ブラウザーで商品のページのURLをコピーしておいて、ボードの右下の 「リンクで追加ボタンadd_link」を押すとカードができる。


7割くらいのサイトでタイトル、価格、画像が自動的に入る。カードを開いて見てみよう。画像をタップすると大きくなる。スワイプすると次の画像が表示される。不要な画像が入ることもあるが、入らないよりマシと思ってほしい。もし、自動で入らなかったら、カードを開いて、タイトルや価格を入力しよう。
iPadとアンドロイドでは、スプリットビューでリクエストランドとブラウザーを並べておいて、リンクをバンバンボードにドラッグするとカードになる。とても便利だ。
ヒント ページのURLをコピーするには
iPhoneでは共有ボタンから「コピー」を押すか、リンクを長押しして「リンクをコピー」を押す。
アンドロイドでは、ページのアドレスバーを押してコピーボタンcopyを押すか、リンクを長押しして「リンクアドレスをコピー」を押す。
パソコンでは、ブラウザーとリクエストランドを並べて開いて、ブラウザーからリンクをバンバンボードにドラッグするとカードになる。
コツは、いろいろなメーカーの商品を広く探して、「いいかな」と思った商品のカードをたくさんボードに入れることだ。バンバンと入れるからバンバンボードだ。
カードを動かして、比較する
たくさんのカードを入れたら、カードを動かして、条件やイメージに近いものをより上の行に、同じ行の中では左側に寄せてゆく。だから、カードは3番目の行に入れてゆくとよい。
すると、優先順位の高い順、つまり条件をより良く満たす順で、2番目の行の左端から1番目、2番目、3番目、と並ぶことになる。
スマートフォンでカードを動かすときには、カードに触って一瞬待ってから動かす。そうしないと、ボードがスクロールしてしまう。
ボードの編集モード
行のタイトル部分をホールドしてドラッグすると、行を移動することができる。
行の背景をタップすると、ボードが編集モードになって、行の操作のボタンが表示される。行の追加、削除、コピーは「行の追加ボタン add」「行のコピーボタン filter_none」「行の削除ボタン clear」で行う。

コンパレーターで2つずつ比較する
コンパレーターを使うと、行の中のカードを2つずつ並べて、じっくり比べられる。
行の背景をタップして、コンパレーターボタンを押すだけだ。ふたつの商品が表示されるので、一方をスワイプして好きな方を残す。それを繰り返すと、一番気に入ったものが行の一番左のカードになる。

条件の優先順位を考えて買うものを決定する
いろいろな条件を満たす高機能な製品は価格が高い。予算の範囲では条件を満たせる商品はないかもしれない。予算を増やすか、妥協して条件のカードの優先順位を変えざるを得ない。
商品のカード内のタイトルやメモ部分にどの条件を満たす、満たさないといった、利点、欠点を書いておくと後でわかりやすい。「マイコン制御」のような行で分けるのもいい。見つけたレビューもコピーしておけば、(運良くフェイクでなければ)参考になる。
現実に即して条件を見直して、カードの並び順を変えてゆくと、1番が決まってゆく。
ウェブサイトに移動して購入するには、カードを開いて上部のリンクを押すか、カードが閉じた状態で下部のサイト名を押す。
ヒント
新品が予算オーバーの場合、一番良いのは不良在庫だ。多くの場合保証付きの新品で、過剰生産や過剰仕入れ、流行遅れ、季節外れ、賞味期限まぢか、昨年のモデルの型落ち品、箱の破損のような訳あり品だ。お店は在庫費用がかかるので、安くしても早く売ってしまいたい。通常の商品リストとは違うアウトレットとして掲載されている場合も多い。
次に良いのは新古品だ。展示品、メーカーによる再生品、自動車販売店がノルマ達成保ために登録をした新古車のように、一度使用したものだ。1年の保証がついているAppleの認定整備済製品が典型的な例だ。店舗では、交渉をして展示品を安く買えることもある。
一方、フリマサイトの中古品は、出品者が何か気に入らない点があって売るのだし、なんらの保証もない。中古を探す前に、まずは不良在庫を探す方が良い。フリマサイトで中古を探すときには、保証付きの中古品販売サイトとも比較するとよい。スマートフォンやパソコンでは、新しいOSが供給される期間が短い。
Googleショッピングや価格比較サイトにも出ていない物を探すときには、詐欺サイトに気を付けてほしい。極端に安かったり、サイトのドメイン名が怪しかったら、ニセ物か粗悪品だ。手を出すべきではない。
バンバンボードで良い買い物ができる秘密
実際に、バンバンボードを使うと、よくあるノートアプリや表計算ソフトと比べてずっと考えやすいし、選びやすい。いったい、何が違うんだろう?
自分に合う物を選べる
その第1の秘密は、自分に合う物を選べることだ。
バンバンボードを使うときのコツは、いろいろなメーカーの商品を広く探して、「いいかな」と思った商品のカードをたくさんボードに入れることがひとつ。バンバンと入れるからバンバンボードだ。
ヒント
それを何回使うか考えることが大事だ。長い年月使う物なら、良い物を大事に使うと満足度が高い。数回しか使わないなら、安いものやレンタルで十分だ。子供の習い事のように、長続きするか確信が持てないものは、テストとしてごく安い中古品で済ませるかレンタルを借りて、続く場合は購入するのが良い。
ヒント
条件に合う商品やお店を見つける一番簡単な方法は、リクエストに条件を書いて、それを満たせる販売者に提案してもらうことだ。
広告やアンカー効果に引きずられにくい
良い買い物ができる第2の秘密は、広告で見かけたイメージに引きずられずに、自分に合う物を選べることだ。
何かが欲しいと思うと、大体の場合、広告で見かけたことがあるメジャーな商品を思い浮かべる。あるいは、検索の一番最初に出てくる商品や、(やらせの)まとめサイトをじっくり見てしまう。
「アンカー効果」というのだが、船の碇(アンカー)のように心に引っかかって、商品を選ぶときにの基準になってしまう。特に、スマートフォンで商品を選ぶときには、たくさんの商品ページを見るうちにブラウザーのタブが溢れてきてわからなくなるし、目も疲れるので、面倒になって広告で見かけた商品を買ってしまう。
広告で見た有名メーカーの商品は、高品質で高価格だ。きっと素晴らしいだろう。一方で、広告費が少なかったり、SNSでの露出の手間をかけなくてもやっていける商品やお店には、独自の利点や価格上のメリットがあるはずだ。
ブラウザーのタブは閉じてしまっても、カードとして整理してある。ランキングの下位まで丁寧に探せるので、アンカーに引きずられにくい。
隠れた宝物(Hidden gem)を丁寧に探してほしい。
ヒント
いくら欲しい物があっても、お金が足りなければ買えない。検索結果の下位の商品やお店まで丁寧に探して、できれば近くから買えば、より広い販売者や生産者に収益の機会が与えられる。そこで働く人の給料が増えれば地元での消費が増え、みなさんの会社の売れ行きもよくなって、給料が増える。そういう好循環を起こすのが、バンバンボードの大きな目的だ。
経営者は社員の給料を増やして、地域と経済全体の活性化による収益拡大を目指そう。経済に強いブランド企業の経営者は、長期的な収益の向上には、このように地域経済を発展させて、自社製品を買える人を増やすことが、最も本質的な戦略だと知っているだろう。
心の中に地図ができて、イメージを具体化できる
第3の秘密は、バンバンボードを使うと、私たちの心の中に地図ができることだ。
ノートアプリだと、だんだんと長くなってくると、「あれはどこに書いたかな?」とわからなくなる。
バンバンボードは広さのあるボードだから、「あの辺に書いたあれ」と地図のように記憶される。
逆のことも言える。何かを買いたい時でも、書類を書くためにアイディアを考えるときでも、最初は、頭の中にぼんやりとしたイメージしかない。バンバンボードは、それを目で見えて、手で動かせる形にするので、だんだんとイメージを具体的にすることができる。
カードの表面に見えるのはタイトル、価格と写真くらいで、自分のメモや商品説明はカードの中に収まっている。メモが長くなってもボードがごちゃごちゃしない。
私が産総研に入ったときに、ある研究者が認知地図について話してくれた。人は、何かを考えるときに心の中にそういう地図を作っているのだ。「リクエスト」機能が地図をベースにしているのも同じ理由だ。販売者は、よく「1丁目のお客さん」と心の中で地図と結びつけてお客さんを覚えている。
だから、「買う物を選ぶツール」とあちこちに書いたが、実際には、「考えるツール」だ。頭の中の選択肢やアイディアを「外部記憶」としてバンバンボードボードに並べ、心の中の地図を具体化することで、より良く考えることができる。
バンバンボードを使いこなしてゆくと、商品を選ぶだけではなくて、アイディアを書き出したり、タスクの管理や、表計算のような集計もするようになる。ボードの中の行やカードの配置が、脳の中の地図と合っているので考えやすい。アイディアがどんどん良くなってゆく。
では、始めよう。
複数の商品の組み合わせ選ぶ
気に入った商品のカードをボードに並べる。
一番上の欄(Ichiban)に一番目の組み合わせ、二番目の欄(Niban)に二番目の組み合わせが並ぶようにカードを並び替える。
カードの右上にあるコピーボタンcontent_copyを押すと、カードをコピーできる。
欄ごとにカードの合計金額が表示され、組み合わせごとの合計金額を比較できる。
どちらの組み合わせを購入するかカードを並べ替えて検討し、決まったらページを開くボタンを押してウェブサイトへ移動して購入する。欄に買うボタンがあれば、それを押して購入することもできる。
ヒント
高額の商品やサービスでは、複数の会社から見積もりを取って比較することが大事だ。特に工事や建築では必須だ。その際に、「相見積り(あいみつもり)をする」旨を伝えないと効果はない。
世の中は価格相応であって、一番安い事業者は、安いなりのことがあるので、その理由に確かめてから発注しよう。
価格交渉は、紳士淑女として気まずくならない範囲でするとよい。見積価格を他社に教えるのはどうか? 一般消費者の場合、秘密と言われていなければ、法律的な問題はない。ただ、多くの営業担当者はあなたのために情熱を持ってやっている。営業担当者がやる気を失なうほど値下げを求めると、味方をなくすことになる。
もうひとつ、同じ業界は横でつながっている。会社は違っても友人だったりする。会社名がわかると、連絡を取り合って「今回は譲るから、次回はうちで頼む」といったことがおきるかもしれない。これは価格で競争をする必要がなくるため、購入者に不利になるカルテルといって違法な行為である。
販売者間の競争によって需要と供給のバランスがとれる。数社が占めていて競争がほどんどない場合は、独占的競争市場といって、、過度な競争は避けなければならないが、
企業間の調達では、信義が重んじられる。また、大きい企業が小さな企業に希望価格を強いると、独占禁止法の優越的地位の濫用になる。
お友達や家族と選ぶ

自分の組織にお友達を招待するか、新しい組織を作ってお友達を招待する。
リクエスト用のプロジェクトを開き、プロジェクトのメニューから「組織内メッセージ・ビデオ通話」を開く。
+ボタンを押して、新しいメッセージ・セッションを作成し、開く。
メッセージ・セッション中にバンバンボードボタンを押すと、バンバンボードに切り替わる。メッセージボタンchatを押すと、メッセージ・セッションに戻る。
バンバンボード内でビデオボタンを押すと、ビデオ通話で会話できる。ビデオ通話中に最小化ボタンclose_fullscreenを押すと、ビデオを閉じて音声だけを聞きながらバンバンボードを使うことができる。
ビデオ通話機能は初期のテスト段階で、現在は3人まで同時に利用できる。ビデオ通話中に接続が切れた場合は、一度退出してから再接続する。
ヒント
多くの商品は、上位の高い製品と下位の安い製品で差別化されている。下位の製品の新製品が出ても、上位を抜くことは滅多にないので、中古でも上位の製品を選ぶと満足度が高い。例えば、音楽が好きならスピーカーやアンプが気になるだろう。技術的には成熟した製品なので、マイナーチェンジをしても大きな差異はない。よほど長い年月でなければ、音質の点で、下位機種が上位機種を抜くことはない。
お洋服をコーディネートする
縦横切替ボタンscreen_rotationを押して縦並びに切り替える。
トップスを上、ボトムスを下に配置して、コーディネートを作成する。
欄ごとに異なる組み合わせを作り、比較しながら検討できる。

旅行の計画を立てる

設定ボタンsettingsを押してボードの設定を開き、「旅行モード」にチェックを入れる。完了ボタンを押して設定を保存する。
カード同士の間に行路を示すつなぎ線が表示され、旅行の流れが視覚的に分かりやすくなる。
ヒント
いきなり大きな発注をしないこと。小さな単位でテスト発注をして、信頼がおける相手だと確認してから大きな発注をすること。
逆に、営業にあたっては、小さな注文こそ迅速に誠実に履行すること。大きな発注がなくても、長い間コンスタントに使ってくれる顧客は上客だ。
アイディアやストーリーを考える

少し異なる2種類のストーリーを、ストーリーAとストーリーBとして比較する。
カードを並べ、Ichibanの欄にストーリーA、Nibanの欄にストーリーBを作成する。
カードの右上にあるコピーボタンcontent_copyを押すと、カードをコピーできる。
この方法は、タイトル決定や特許請求項の検討、ビデオストーリーの作成などにも応用できる。
バンバンボードは、アイディアのブレーンストーミングの強力なツールだ。カードを画像のない正方形にすると、より多くのカードを表示することができる。ボードの設定settingsから、正方形のカードを選択する。
カードの大きさは限られているので、タイトルが長いとすべてを表示することができない。もっと多くの文字を表示したいときには、ボードの右上にある設定ボタンsettingsから、「ワード単位で改行しない」をオンにするとよい。
現在のバンバンボードは操作の「取り消し」ができない。ボードの一番下に「ゴミ箱」という行を作っておいて、カードを削除したいときにはそのゴミ箱に移すといい。行の削除も同様だ。カードを大きく変更するときには、カードのコピーを作ってゴミ箱の行に入れておくといい。
ボードのコピーもできない。カードをひとつひとつコピーして、カードの編集画面で「ボードを変更」することで新しいボードに移すことができる。